貸借対照表の基礎知識(1)
貸借対照表は企業の期末における財政状態を示す計算書で、損益計算書はその期の経 営成績を示す計算書です。
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貸借対照表とは
貸借対照表と損益計算書は企業の実態を把握する目安となります。
自社のみならず取引先を含む他社の経営成績を検討する場合に、経営指標が用いられますが、この経営指標を理解するためには、算出式はもちろんのこと、財務諸表の知識が必要となります。
流動資産
資産の部は、流動資産、固定資産及び繰延資産の各部に区分し、固定資産の部は、さらに有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産の各部に区分しなければなりません(規則51 条)。
資産の各部は現金及び預金、受取手形、建物その他の資産の性質を示す適当な名称を付した科目に細分しなければなりません(規則52 条)。
●売掛金等
売掛金、受取手形その他営業取引によって生じた金銭債権は流動資産の部に記載しなければなりません。ただし、これらの金銭債権のうち破産債権、再生債権、更生債権その他にこれらに準ずる債権で決算期後1年以内に弁済を受けられないことが明らかなものは、投資その他の資産の部に記載しなければなりません(規則53 条)。
●預金等 預金、貸付金その他の金銭債権でその履行期が決算期後1年以内に到来するものまたは到来すると認められるものは、流動資産の部に記載しなければなりません。ただし、当初(金銭債権発生時)の履行期が1年を超えるものまたは超えると認められるものは、投資その他の資産の部に記載することができます(規則54 条)。
●子会社等に対する金銭債権
子会社(有限会社にあっては有限子会社)に対する金銭債権で、上記(売掛金等、預金等)の規定により流動資産の部に記載すべきものは、その金銭債権が属する科目ごとに、他の金銭債権と区別して記載しなければなりません。ただし、その各種金銭債権が属する科目ごとに、または2以上の科目について一括して注記することができます(規則55 条1項)。
支配株主(有限会社にあっては支配社員)に対する金銭債権で流動資産の部に記載すべきものについても、子会社等に対する金銭債権の規定を準用します(規則55 条2 項)。
有価証券報告書提出大会社は、上記規定による記載または注記に代えて、関係会社に対する金銭債権を、その金銭債権が属する科目ごとに、もしくは2以上の科目について一括して注記することができます(規則55 条3項)。
●取立不能の見込額 流動資産の部に記載した金銭債権について取立不能のおそれがある場合には、その金銭債権が属する科目ごとに、取立不能見込み額を控除する形式で記載しなければなりません。ただし、取立不能の見込額を控除した残額のみを記載することもできます(規則56 条1項)。この場合、取立不能の見込額を注記しなければなりません(規則56 条2項)。 取立不能の見込額は、2以上の科目について一括して記載することもできます(規則56 条3項)。
●短期保有の株式等 市場価格のある株式及び社債(国債、地方債その他の債権を含む)で時価の変動により利益を得る目的で保有するものは、流動資産の部に記載しなければなりません(規則57 条1項)。 決算期後1年以内に償還期限の到来する社債(上記社債を除く)は流動資産の部に記載しなければなりません。ただし、当初の償還期限が1年を超えるものは、投資その他の資産の部に記載することができます(規則57 条2項)。 規則56 条の規定(取立不能見込み額に関する規定)は市場価格のない社債について準用します(規則57 条3項)。 親会社の株式は、流動資産の部に他の株式と区別して記載しなければなりません。ただし、その額が重要でないときは注記によることができます(規則58 条)。
●前払費用 費用の前払いで決算期後1年以内に費用となるものは、流動資産の部に記載しなければなりません。ただし、当初1年を超えた後に費用となるものとして支出されたものは、投資その他の資産の部に記載することができます(規則59 条)。
●繰延税金資産 流動資産に属する資産または流動負債に属する負債に関連する繰延税金資産は流動資産の部に記載しなければなりません。特定の資産または負債に関連しない繰延税金資産で決算期後1年内に取り崩されると認められるものについても同様とします(規則60 条)。 なお、流動負債の部に繰延税金負債がある場合には繰延税金資産と繰延税金負債の差額を繰延税金資産(流動資産の部)または繰延税金負債(流動負債の部)として記載しなければなりません(規則87 条)。
●時価が著しく低い場合の注記 重要な流動資産につきその時価が取得価額または製作価額より著しく低い場合において、取得価額または製作価額を付したときは、その旨を注記しなければなりません(規則61 条1 項)。この規定は市場価格のある株式及び社債について準用します(規則61 条2 項)。
固定資産
●有形固定資産の償却
有形固定資産は、その資産が属する科目ごとに、減価償却累計額を控除する形式で記載しなければなりません。ただし、減価償却累計額を控除した残額のみを記載することができます(規則62 条1 項)。この場合は、減価償却累計額を注記しなければなりません(規則62 条2 項)。減価償却累計額は、2 以上の科目につき一括して記載することもできます(規則62 条3 項)。
【減価償却累計額とは】
減価償却累計額は、土地を除く固定資産の減価償却費の累計額です。固定資産(償却資産)の取得価額から減価償却累計額を差し引いた価額が、固定資産の未償却残額となります。
減価償却累計額=Σ(各年度の減価償却額)
固定資産の未償却残額=資産の取得価額-減価償却累計額
次に、減価償却方法として代表的な「定額法償却」「定率法償却」について簡単に説明します。
【定額法償却】
定額法による償却では、
各年度の減価償却額=(取得価額-残存価額)÷耐用年数
で求めることができます。
【定率法償却】
定率償却の場合には、
各年度の減価償却額=固定資産の未償却残額×償却率
で求められます。
●建設中の有形固定資産など 建設中または制作中の有形固定資産は、特別の科目(例:建設仮勘定)を設けて記載しなければなりません(規則6 3 条)。
●無形固定資産の償却 無形固定資産(特許権、営業権など)は、償却額を控除した残額(直接控除方式)を記載しなければなりません(規則64 条)。
投資その他の資産
●長期前払費用 長期前払費用(流動資産の部に記載した費用の前払以外の費用の前払)は、投資その他の資産の部に記載しなければなりません(規則68 条)。
●長期繰延税金資産 流動資産に記載された繰延税金資産以外の長期繰延税金資産は投資その他の資産の部に記載しなければなりません(規則69 条)。 なお、「固定負債の部」に長期繰延税金負債がある場合には長期繰延税金資産と長期繰延税金負債の差額を長期繰延税金資産(投資その他の資産の部)または長期繰延税金負債(固定負債の部)として記載しなければなりません(規則87 条)。
●長期金銭債権 長期金銭債権(流動資産の部に記載した金銭債権以外の金銭債権)は、投資その他の資産の部に記載しなければなりません(規則70 条1 項)。子会社等に対する金銭債権で流動資産の部に記載したもの以外のものは投資その他の資産の部に記載しなければなりません。長期金銭債権は、取立不能の見込額を科目別間接控除形式で記載しなければなりません。ただし、それを直接控除形式で記載することもできます。この場合は、取立不能の見込額を注記します(規則70 条2項)。
●取締役等に対する金銭債権 取締役、執行役または監査役との間の取引による取締役、執行役及び監査役に対する金銭債権は、その総額を注記しなければなりません(規則71 条)。
●長期保有の株式等 流動資産の部に記載した株式及び社債以外の株式及び社債は投資その他の資産の部に記載しなければなりません(規則72 条1項)。 この規定は有限会社の社員の持分その他出資による持分について準用します(規則72 条2項)。 投資その他の資産の部に記載すべき社債のうち市場価格のないものについては、取立不能の見込額を科目別間接控除形式で記載します。ただし、それを直接控除形式で記載することもできます(規則72 条3 項)。
●子会社の株式等 子会社(有限会社にあっては有限子会社)の株式または持分は、他の株式または持分と区別して投資その他の資産の部に記載しなければなりません。ただし、その額が重要でないときには注記によることができます(規則7 3 条1 項)。 有価証券報告書を提出する大会社は、上記記載または注記に代えて、財務諸表等規則31 条1 号に規定する関係会社株式または関係会社の持分を、他の株式または持分と区別し て投資その他の資産の部に記載または注記することができます(規則7 3 条2項)。
繰延資産
繰延資産の金額は、償却額を控除した残額を記載しなければなりません。商法施行規則に規定される繰延資産とは、 ・創立費(規則35 条) ・開業費(規則36 条) ・研究費及び開発費(規則37 条) ・新株発行費(規則38 条) ・社債発行費(規則39 条) ・社債発行差金(規則40 条) ・建設利息(規則41 条) の7種類です。 創立費・開業費費・研究費及び開発費は5年以内で均等額以上の償却、新株発行費・社債発行費は3年以内で均等額以上の償却、社債発行差金は社債償還期間内に均等額以上の償却、建設利息は資本の総額の6 /1 0 0 を超える利益を配当するごとにその超過額と同額以上の金額を償却しなければなりません(規則35 条~41 条)。 繰延資産は償却額を控除した直接控除方式で記載しなければなりません(規則74 条)。
資産の部に関する注記事項
●償却年数等の変更 固定資産の償却年数または残存価額を変更したときは、その旨を注記しなければなりません。ただし、その変更が軽微であるときは、この限りではありません(規則65 条)。
●リースにより使用する固定資産 リース契約により使用する重要な固定資産は、注記しなければなりません。ただし、資産の部に計上するものはこの限りではありません(規則66 条)。
●所有権が留保された固定資産 割賦販売等により購入した重要な固定資産の所有権が売主に留保されているときは、その旨及び代金未払額を注記しなければなりません。ただし、他の資産または他の債務と区別して記載するときはこの限りではありません(規則67 条)。
●取締役などに対する金銭債権 取締役または監査役との間の取引による取締役および監査役に対する金銭債権は、その総額を注記しなければなりません(規則71 条)。
●担保に供されている資産 資産が担保に供されているときは、その旨を注記しなければなりません(規則75 条)。


